本日はTOEICテストについて個人的に気になる点を少し。基本的にL/R(リスニング、リーディング)テストについて書いています。
前述の通り、TOEICテストは良い指標にはなると考えていますが、あくまでも一つの尺度であって英語力全般を図るものではもちろんありません。(テストのタイトルがL/Rとうたっていますから当然です)そのためよく言われるように900点取得者であっても実際の運用力はそれほどでもないケースが生じます。
経験として私自身がまさにそこにあてはまった経緯があります。TOEIC初受験は今から20年前のカナダ留学時です。留学というと聞こえは良いですが、受験時は渡加してから3カ月ほどで語学学校に在籍時でしたので英語環境に慣れたなどポジティブ要素はあったものの、英語力について劇的に伸びるだけの期間を過ごしたわけではありません。帰国後の求職活動を考えTOEICクラスをとっていたので、流れと腕試しを兼ねて気負いなく受験をしました。結果として895点(リスニングの方がだいぶ高かったと思います)を取りましたが、900に届かなかったことがくやしかった思い出があります。
同時にですが、900点についてすごく複雑な思いを持ちました。というのも私のコミュニケーション能力、特にスピーキング能力はまだまだつたないことを痛感している時期でした。語学学校あるあるかと思いますが、学校のクラスメートや教師、ホストファミリーとは充分にコミュニケーションを図れて(いるように感じていて)、”自分いけてるかも”感はもてても外の世界(笑)に飛び込むと英語力の無さを痛感するといった経験をした方は多いかと思います。
印象的な経験としてですが、語学学校のクラスメートにドイツ人女性がおり、ヨーロッパ、南米の留学生にありがちの英語能力、特にスピーキング能力の高さにいつも圧倒されていたのですが、学校のTOEIC模試の結果を聞くと私の点数と遜色なかったのです。(ちなみにリスニングの時はまるで幼稚園の問題ねとテスト中にのたまっていました。。)これはシンプルにスピーキングテストが無いからという理由だけではありません。確実に(レッスンの中でテレビなどを使ったアクティビティもありましたので)リスニング力も彼女の方が高かったのですが、そのことが反映されていなかったのです。
この経験により当時はTOEICについて、英語力をしっかり反映するテストでは無いという印象を持ちました。
ただしですが、それから年月も経ち私の見方は少し変わっております。それがTOEICは"英語の基礎能力が身に付いたか図るテスト"といった見方です。ですのである程度以上の高度な能力はテスト結果には反映されないのです。(そこまでテストすることを意図していないので当然です)
TOEICは、きれいでほどほどのスピードで録音された音声、またしっかりした文法に基づきほどほどの難易度の英語で書かれた文章をそこそこのスピードで理解する能力をテストしています。
公平性を期すテストにおいては誰もが納得する表現、文章を使わざるを得ません。より高度で難解な英語になれば専門性や主観性の影響が大きくなり、テストの公正性に疑いがでてきますし、何よりそこまで到達している英語を”テスト”する必要性が無いのです。
誤解していただきたくないのは、英語学習者が先ずはTOEICでしっかりした結果を出すことは意味があるということで、高度な英語運用者は必ず一定以上の高い点数を取るということです。ただしTOEICの満点を目指す必要はなく、個人的にはTOEIC800点、英検準1級をパスすればあとは自分の英語の方向性を見つけて専門性を高めていってほしいと思います。何度も申し上げているように、資格試験はゴールではありません。
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